『かりそめの契り~後家の花嫁は愛される~』9話と10話では、絢子の心に宿る誇りと、雄一郎の中で静かに芽生え始めた感情が描かれています。
続く9〜10話は、いじめの再燃や心の葛藤を経て、二人の関係が“かりそめ”から“契り”へと進み始める転機となる回です。
『かりそめの契り』9話ネタバレ|椿が教える誇りと止まらぬ悪意
雄一郎からの命令でいじめは一応収まったものの、陰口や嫌味は依然として続いていました。
そんなある夜、絢子は庭で咲く一輪の椿に目を留めます。
その凛とした花を見つめるうちに、かつての自分なら何も感じずに笑って誤魔化していたことを思い出し、どんな境遇でも守るべき誇りが自分にも残っているのではないかと気づくのです。
その様子を二階の窓から静かに見つめる雄一郎の姿がありました。
彼が何を思っているのかはまだ分かりませんが、確かに絢子への関心が芽生え始めているように見えます。
翌日、絢子は他の女中に頼まれ、離れの掃除を引き受けます。
言われた通り黙々と働いていると、そこに千代が現れます。
千代は絢子の態度が気に入らないと告げ、笑っていると思えば急に冷めた顔をするのが不快だと苛立ちをぶつけます。
旦那様に贔屓されていい気になっているのなら出ていけと突き放し、絢子を追い詰めていきます。
なぜここまで言われなければならないのか、絢子は言葉を失いながらも心の中で抵抗を感じます。
そんな彼女に千代は冷たく、淫売だと侮辱の言葉を浴びせました。
絢子は唇を噛み、何も知らないのにと涙をこらえます。
そこへ他の女中が駆け込み、旦那様がこちらに向かっていると慌てて知らせます。
張り詰めた空気の中、離れには新たな嵐の気配が漂い始めました。
『かりそめの契り』10話ネタバレ|旦那様との対話、誇りを守る選択
離れに現れた雄一郎は、静かに佇む絢子を見つめ、何をしているのかと声をかけます。
絢子は涙を見せまいと顔を伏せ、すぐに他の部屋の支度を終わらせると答えました。
しかし、離れは使われていない部屋だったため、雄一郎はその違和感に気づきます。
彼は絢子を自室へ呼び、正面から向き合います。
嫌がらせはまだ続いているのではないか、誰がやっているのか、名を挙げればその者を解雇する、と問いかけます。
脳裏に浮かんだのは千代の顔でしたが、絢子はすぐに首を振りました。
そして、もし誰かを罰するのであれば、ご自身の目で確かめてからのほうが良いと静かに答えます。
雄一郎は深く息を吐き、今の立場よりも誇りを選ぶのかと呟きます。
主人に逆らうとは良い身分だと皮肉を口にしながらも、どこか感嘆のような響きがありました。
絢子はその視線をまっすぐ受け止め、屈することなく立ち続けます。
誇りという言葉が再び胸に刻まれ、雄一郎の眼差しにも尊敬の色が浮かんでいました。
この夜の対話が、やがて二人を結ぶ“契り”の始まりとなるのです。
『かりそめの契り』9話10話の見どころ・考察
9話から10話にかけては、絢子の心の変化が丁寧に描かれています。
椿の花が象徴するのは、踏みにじられても失わない誇り。
どれほど過酷な状況でも、自分の尊厳を守ろうとする絢子の姿に読者の共感が集まりました。
一方の雄一郎も、命令でしか人を動かせなかった冷徹な伯爵から、絢子の強さを認め、尊重しようとする男性へと変わりつつあります。
9話の椿と10話の誇り、この二つの要素が重なり合い、物語は“契り”という次の段階へ進んでいきます。
9話10話を読んだ後の感想・読者の反応まとめ
- 忠告があってもなお虐める千代の執念が怖い
- 旦那様、早く現場を見て助けてほしい
- 絢子の涙をこらえる姿に胸が締めつけられた
- 誇りを守ろうとする姿が本当に美しい
SNSでは「誇り」「旦那様」「契り」などの関連ワードが注目され、絢子の芯の強さと雄一郎の変化に感動したという声が多く見られました。
続きはこちら|11話12話ネタバレ
次回、雄一郎は絢子に残っている借金の額を尋ね、驚くべき提案をします。
妻になる代わりに借金を肩代わりするという契約です。
冷たい提案のように見えますが、その裏にある雄一郎の真意はまだ明らかではありません。
誇りを選んだ絢子が、次は“契り”という選択を迫られることになります。
まとめ|誇りを守る女と、契りを求める男
9~10話では、誇りを捨てずに生きようとする絢子の姿と、そんな彼女を見つめる雄一郎の変化が丁寧に描かれました。
椿の花が示した誇り、そして二人の間に生まれる静かな絆。
それはまだ“かりそめ”の関係かもしれませんが、確かに“契り”の始まりを告げています。
次回の11話では、雄一郎の提案が二人の運命をさらに大きく揺るがすことになりそうです。

